レコード、カセットテープ、VHS、CD、MD、DVD……。さまざまな形態、さまざまなパッケージで音楽や映像が届けられる際に、いつでも僕たちの目を楽しませ、心躍らせてくれるのが、そのジャケットを始めとしたデザインです。が、今や配信が主流の時代。"手にとって楽しむ"アートワークの役割も変化のときを迎えています。ここからデザインのあり方、見せ方は、どのように変わり、どのような流れを作っていくのか。どのようにして音楽に寄り添い、またどのようにして音楽を引き立てていくのか。このコーナーでは、新旧ジャンルを問わず、さまざまな分野で活躍するクリエイターたちに"現在のデザインのあり方、魅力"についての話を聞いていきます。一緒に"デザインの未来"について考えていきましょう。

100th Music Creator #1 梁間修作

COZY Ray Of Hope Sonorite

梁間修作(ハリマシュウサク)

職種:アートディレクター

■主な制作実績
山下達郎CDカバー
アートディレクション デザイン作品
(Album)
COZY
ON THE STREET CORNER 3
RARITIES
SONORITE
Ray Of Hope
(Single)
LOVE CAN GO THE DISTANCE
JUVENILEのテーマ ~瞳の中のRainbow~
FOREVER MINE c/w MIDAS TOUCH
白いアンブレラ/ラッキーガールに花束を
ずっと一緒さ
僕らの夏の夢
希望という名の光
街物語
愛してるって言えなくたって

Profile

1960年大阪府出身。グラフィックデザインの専門学校卒業後、京都・友禅染の工房にて染色を学ぶ。その後、妻と半年巡ったインドで、庶民の街にあふれるおびただしい色彩と形と文字の洪水に大いに触発され、グラフィックデザインを志す。帰国後印刷会社にて印刷技術を学び、 '90年よりCM制作会社、東北新社グラフィック部門のアートディレクターとして、幅広い業種の、主に販売促進(店頭ツール、パッケージデザインなど商品と消費者に近い)領域でグラフィックデザインを担当。'98年、山下達郎アルバム「COZY」プロモーション映像の監督からの紹介で、CDジャケットデザインの仕事と出会う。以後現在まで、山下達郎の主なCDジャケットデザインを担当する。2011年6月独立。デザイン事務所「アルチザン・アートワーク」を設立。

■あなたがこの道に進むことになったきっかけ
おそらく、60年代の大阪下町の小学生だった頃出会った「明治ヨーグルトキャラメル、森永ミルクキャラメル」のパッケージ。当時は子供にとって、キャラメルが今よりもっと貴重だった。だから中身が無くなっても捨てきれず、しばらく半ズボンのポケットに。中身はもちろんおいしいけど、「外身だけでも充分によだれが出る」という感覚がその頃からある。そんな「包むもののデザイン」への興味が、現業のきっかけになっているような気がします。
■思い出に残る制作のエピソード
2005年の山下達郎アルバム「SONORITE」のジャケットデザイン制作で、ビジュアルアイデアを提案するも、達郎さんの求めるイメージとそぐわず難航。締め切りまであと一日を切り、万策尽きた深夜、開き直って鼻歌まじりに12色の水彩絵の具で数秒で描きなぐった。そのフリーハンドのSONORITEのタイポグラフィがそのまま採用となりました。コンピュータを駆使し、アーティスティックな表現にこだわってしまった時、達郎さんの「僕は芸術家じゃないから」の一言が決め手となったことを覚えています。
■あなたが仕事を通じて伝えたい事
世界はそれほど悪くない。と感じてもらえること。
■100年後も残る~クリエイティブ、またその未来について思うこと
商業デザインの世界で長く仕事をしていますが、その領域においてのデザインは商品つまり中身がすべてだと考えています。中身と等身大ではなく、お門違いの誇張やデザイナーの存在感のほうが先に立つようなものは、一部の人のコレクションにはなれても、商品とともに幅広く世代を超えて支持を得ることはできません。CDのカバーデザインも同様。デザイナーがパッケージの中身のミュージシャンやその音楽の味を理解して惚れ込み、外身だけでもその美味さがビジュアルや手触りとして感じられる必要があります。名盤と出会え、ミュージシャンのビジョンやその音楽に、ビジュアルとして完全に寄り添うデザインができたとしたら、100年後もきっと誰かに「美味しそう」と手を伸ばしてもらえ、中身を聴いて「もっと美味しい」モノになると思います。
■「もの」をエザインする事へのこだわり
手で触れられるすべての「もの」は歳をとり、風化していきます。例えばレコードやCDジャケットも、出会った人の性格によって、聴かれる回数やおかれる場所によって、印刷されたインクや紙の色もいつの間にか変化し、年とともにその人の歴史が刻まれます。つまり手に取った瞬間から、その人だけの「もの」に変化していきます。手にする「もの」と、デジタル信号として配信する「データ」の違いはそこにあると思います。配信される音楽を「データ」として聴き、本当に気に入った音楽は、自分だけの「もの」としてCDを手に入れ、一緒に歳を重ねる。というのが「もの」を作るデザイナーとしては理想です。

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