100年 MUSIC featuring Artist

Vol.1 Superfly

「色褪せない想いと残っていく音楽」

 現在ヒット中の3rdアルバム『Mind Teavel』。その制作があと少しで終わろうとしていた3月11日、我々の住む世界は一変した。東日本大震災。志帆は音楽の無力さを実感して悩みに悩んだが、間もなくして「Sunshine Sunshine」をア・カペラで歌ってウェブサイトにアップ。続けてわずかな時間で「You&Me」という新曲を書きあげ、自宅のピアノで弾き語ってアップした。3月25日からは配信サイトでも聴けるようになり、その売り上げは義援金として被災地に寄付された(5月11日にアップされた志帆の日記の報告によれば、2ヵ月で¥7831,780集まったそうだ)。
このことは志帆にとって、音楽に対する向き合い方を改めて考え直す大きな経験となったはずだし、流行と関係なく長く残り続けていく音楽とはどういうものなのかを深く考えるきっかけにもなった。続いていく音楽、残っていく音楽とは? Superflyにとっての「100年MUSIC」を訊いた。

Page.5

  • Prev
  • Next
――震災のあと、志帆さんはかなり早い段階でアクションを起こしました。「Sunshine Sunshine」のアカペラ・ヴァージョン、そして「You&Me」という新曲を作っての配信。今改めて、どのような思いで「You&Me」という曲を作って配信するという行動を起こしたのか、話してもらえますか?
「はい。まず、あのときは本当に何をしたらいいのかがわからなくて……。何より辛かったのは、やっぱりああいうときには音楽は優先順位が低いというか、当たり前ですけど生きていくということが何より大事なわけで、音楽の無力さみたいなものを初めて感じたんです。私は音楽しかできないのに今は必要じゃないんだなって思って、じゃあ自分はどうしたらいいんだろって考えて、辛くなって……。そんなときに制作の方が電話をくれて、チャリティ・ソングを作ろうよ、と。音楽自体がそのときすぐに(被災された人たちに)必要かどうか私には分からなかったんですけど、配信して、そのお金を寄付できるようにすれば現実的な意味で少しでも力になれるかなと思ったし、それならばやる意味があるんじゃないかと思って、それで電話を切った直後に作ったのが"You&Me"だったんです」
――直後に?
「はい。すぐできました」
――つまり、こういうことを今伝えたいんだという明確な思いがあったということですよね。
「はい、ありましたね。自分は今東京に住んでいて、被災地ではない場所にいる。そこで何を歌うのかってことをすごく考えていて。"頑張れ!"とは言えない。だってみんな頑張ってるから。っていうことも考えて、じゃあ何が必要かっていったら、まず私たちが元気でいることが大事なんじゃないかなと思ったんですよ。落ち込むのではなく、想いは届くはずだと信じて、私たちは希望と笑顔を絶やさずにい続けることがすごく大事なんじゃないかって。そうして今できることをひとつひとつやっていくのが大事なんだろうと思ったので、まずは私たちから声を出して、みんなで祈りとか願いを届けたい、だから力を貸してほしい、って思ったんですよね」
――BBSを読んだら、「家は流されたけど、志帆さんのこの歌を聴いたら元気がでました」というような書き込みもありましたし、本当に、やってよかったですよね。
「いや、もう、本当に。私もそういうコメントを読んで安心したし、そういう人たちのために少しでも力になれたんだったらよかったなって思いましたね。うん、よかった…」
――すぐに動く難しさも動かない難しさも両方あると思うけど、メジャーの舞台で活躍している志帆さんがすぐにこういう動きをしたということ自体、とても意義のあることだと思いました。歌わずにはいられない衝動がそのアクションに直結したんだろうなと。
「そうですね。地震があって何日間かは自分の存在の意味がわからなくなるくらいだったんですけど、この曲を作ったときに初めて、"あ、自分がいる意味もあるんじゃないか"って思えたというか。やっぱりこういうことをやっていかないと自分自身のなかでもバランスがとれなくなってたんだと思うんです。そういうことを含めて、いろんなことに気づかされましたね。いろんなことを自分の肌で感じるということが、音楽を続けていく上で本当に大事なんだなって思いました」
――「100年MUSIC」……つまり100年残る音楽を作るためにも、今話してくれたことが大事なポイントになりそうな気がします。
「本当にそうですね。あの日の地震も、実際に私が東京であの揺れを体感したから……もちろん被災地の方の苦しみとはレベルが違いますけど、少しはその恐怖がわかる。もしあのときに私が実家にいたりして体感していなかったとしたら、今のような気持ちにはならなかったかもしれないって思うし。やっぱりいろんなこと……辛いことも哀しいことも怖ろしいことも、もちろん嬉しいことも、いろいろ実際に経験しないとリアルな音楽は作れないなってことを強く実感しました」
――そうして初めてわかることはたくさんありますもんね。
「うん。想像で歌詞を書く面白さもあるとは思うんですけど、やっぱり自分で体験しておくっていうのは大事だと思いますね。恋愛とか失恋もそうだし。自分のした体験に対して、しっかりと想いを持っておくってことが作品のオリジナリティにも繋がるし、そうしないと長く残る曲も書けないと思うんですよね」
――体験からくる色褪せない感情、想い。そういうものが100年残っていく音楽の基となる。
「ああ、そうですね。深い感情は色褪せない。そう思います。言葉にできないくらい計り知れない悲しみにしても、計り知れない苦しみにしても、あるいは喜びにしても。うん」
――「Ah」にしてもそういうところから生まれた曲だし。
「そうですね」
――では最後の質問。Superflyとして今まで発表してきた全楽曲のなかで、これは100年残るだろう、あるいは残ってほしいと思う曲をひとつ挙げるとしたら?
「え~っ、ありますかねぇ~、できれば残ってほしいですけどねぇ(笑) うーん、でも1曲挙げるとするなら、"Eyes On Me"ですね。自分の笑顔って自分じゃ見ることができないけど、誰かが見守っててくれるから笑顔になれるんだって気づけたことは、自分でもすごく嬉しいことだったし、きっと100年後も人と人ってそういうふうに寄り添っていくものだと思うし。それは変わらないことだと思うので。100年先の人にもこの曲は聴いてもらいたいですね」

取材・文/内本順一

  • Prev
  • Next
Mind Travel

Superfly
3rd Album
"Mind Travel"
2011.06.15 Release


初回限定盤<CD+DVD> WPZL-30278/79  ¥3,619(本体)+税
[初回特典DVD内容]
全10曲ミュージックビデオ-DVD

通常盤<CD> WPCL-10952 ¥3,000(本体)+税

http://wmg.jp/superfly/

featuring Artist Archives
COMING SOON
VOL.6 SAM MOORE
VOL.5 BONNIE PINK
VOL.4 山下達郎
VOL.3 Charice
VOL.2 Nile Rodgers
VOL.1 Superfly