100年 MUSIC featuring Artist

Vol.2 Nile Rodgers

「自分の作る音楽において何より重要なもの」

 「ダンス・ダンス・ダンス」「ル・フリーク(おしゃれフリーク)」「グッド・タイムス」……。今も色褪せることのないこれらのダンス・ナンバーは、ナイル・ロジャース率いるシックが30年以上も前に放ったヒット曲だ。そして、まだまだこの先何年も、これらの曲は人々を躍らせる力を持ち続けるのだろう。つまりは時の風化に耐えうる力を持った音楽ということだが、ナイル・ロジャースという人はどうしてこのようにタイムレスなダンス音楽……「100年MUSIC」を生み出すことができるのか。長く輝き続ける音楽の肝とはなんなのか。今回はそこを訊いてみた。

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――癌の手術前と手術後、朝のウォーキングを欠かさずされているそうですね。そうしたときにもあなたの頭のなかには常に音楽が流れているわけですよね。
「うん、そうだよ。iPodは必要ないね。頭のなかに自分なりのプレイリストがあって、常にそこからの曲が流れているから。ウォーキングのときだけじゃなく、例えば今キミとこうして話している間にも曲は流れているんだ」
Nile Rodgers
――そのときの景色とか、感じたことが、そのまま音楽に直結するということですかね?
「うん。何かを見ると、パッと頭のなかに曲が流れてくるんだ。目に入ったものと頭のなかで流れてきた曲との関連性がわからないときもたまにあるんだけど、少ししてから"あ、だから僕はこの曲を歌ってたんだ"って気づいたりもする。たとえばさっきキミが話し始めたとき、なぜだか(ビージーズの)"ステイン・アライヴ"が頭のなかに流れてきた。もしかするとバーナードの没後15周年ということが関係しているのかもしれないし、"100年MUSIC"というテーマの説明を聞いたことから、シック結成当時は自分がこんなに長く音楽の世界で生き残ってる(=ステイン・アライヴ)なんて想像してなかったなと思った、そのことが関係しているのかもしれないね」
――では、今回のインタビューの核となる質問をします。ナイルさんは100年続く音楽の肝ってなんだと思いますか?
「僕は古いタイプのプロデューサーだから、まず頭に浮かんだものや聴こえてきたものを書いていく。その時点で、どんな曲になるのか、ビジョンが頭のなかにあるわけなんだ。一方、最近の若い音楽プロデューサーの多くは、楽曲の全体像がないなかで、集めておいたアイディアを足しながらひとつの曲に仕上げていく。つまり、どんな曲になるかわからない状態で作業を進めていくんだね。で、僕の考える音楽作りの肝はといえば、ズバリ、リライト力(アレンジ力)だ。アメリカではよく、優れた才能とはソングライティング力ではなくリライト(アレンジ)の能力だと言われるけど、僕もそう思う。頭のなかに聴こえてきたものをいかにリライト(アレンジ)するかで決まるんだ」
――そういうやり方によって、100年MUSIC=100年間輝き続ける曲ができる。
「うん。そう思ってるよ」
――では、あなたが特に重きをおいている音楽要素はなんですか? メロディの美しさなのか、歌詞のメッセージ性なのか、ファンキーなグルーヴなのか……。
「シックの音楽にしろナイル・ロジャース個人の音楽にしろ、何より重要なのはリズムだ。例えばダイアナ・ロスに作った"アップサイド・ダウン"。あの曲には"ダッ・ダダダン、ダッ・ダダダン"というリズムが不可欠だったし、あのリズムがないとしっくりこない。メロディ作りも大切だけど、バンドのリズムが肝になるんだ。つまりそれが、さっき言ったリライト(アレンジ)だね。確かあの曲を最初に書いたときは、(バラードふうに)"Upside down~~、Boy you turn me~"なんて感じだったと思うけど、リライトすることであのようなグルーヴが生まれた。うん、僕がいいと思う曲は、リズムがいい曲だね。大体、リズムで決まる。ハーモニーやメロディ、歌詞のメッセージ性なんかも大事だけど、最終的な仕上げのキー・ポイントはなんといってもリズム。マドンナに作った"ライク・ア・ヴァージン"にしても、デモの段階から"チャッ、チャッ、チャッチャッ"っていうリズムはあったんだけど、そこに"ジャカ、ジャカ、ジャカ、ジャカ"というリズム・ギターを足すことでさらに磨きをかけた。"チャッ、チャッ、チャッチャッ"だけだったら、つまんなかったと思うよ」
Nile Rodgers
――これから先もずっとリズムに重きを置いた音楽作りをしていくのでしょうね。
「うん。とにかくひとつハッキリ言えるのは、自分が満足のできる音楽をやり続けたいということ。僕は70歳になっても、80歳になっても、ずっとダンス・ミュージックを作り続けていたいんだ。数年前にエリック・クラプトンがニューヨークの僕の家に遊びに来たとき、彼はこう言ってた。"オレはすごくハッピーだ。残りの人生も自分の大好きなブルースをずっと演奏し続けることができるんだから"ってね。正直、それを聞いた僕は"数々の素晴らしい名曲を書いてきたエリック・クラプトンなのに、残りの人生で演奏したい音楽がブルースだって?!"と、戸惑ったよ。で、僕は思ったんだ。彼が黒人音楽のブルースを演奏し続けるなら、黒人である僕は死ぬまでダンス・ミュージックを続けるぞ、ってね」

続く (ナイル・ロジャースのインタビュー第4回は、7/1掲載予定)取材・文/内本順一

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Profile

ナイル・ロジャース。1952年9月19日、ニューヨーク生まれ。1977年にファンク~ダンス・バンド、シックとしてデビュー。「おしゃれフリーク」「グッド・タイムズ」という2曲の全米ナンバー1ヒットを放ったほか、多くの名曲でディスコ・ブームを牽引。ベーシストのバーナード・エドワーズとの作編曲・プロデューサー・コンビとしても評価され、シックがバックの演奏を受け持つ形でダイアナ・ロスやシスター・スレッジらの曲を手掛けてヒットさせた。1983年からしばらくはプロデューサー活動に専念し、デヴィッド・ボウイ『レッツ・ダンス』、マドンナ『ライク・ア・ヴァージン』、ミック・ジャガー『シーズ・ザ・ボス』といったアルバム及びシングルをヒットさせた上、デュラン・デュラン、フィリップ・ベイリー、アル・ジャロウ作品なども担当。1992年にはシックを再結成させ8年ぶりのアルバムをリリース。1996年には日本企画のイベント「スーパー・プロデューサー・シリーズ」のためにシックを再編して初来日し、以後、コンスタントに来日を重ねている。現在58歳。昨年、前立腺癌が発覚し、今年1月に手術をした。

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