100年 MUSIC featuring Artist

Vol.5 BONNIE PINK

メロディのよさが一層際立ち、
新しく生まれ変わった名曲群

 9/21にリリースされたBONNIE PINKのセルフ・リメイク・アルバム『Back Room』。「歌の表情がこれまでにも増して豊かに聴こえるヴォーカル・アルバム」と前回書いたが、それも大胆にして意欲的なアレンジがあってのことだろう。十分に完成されていた原曲であっても、そこに今の気分、今ならではの味わいをどう加えて、どう響かせるか。それを考えた上で工夫あるアレンジを施したここでの曲群は、昨今の数多ある安直なカヴァー集とは発想からして根本的に異なるものだ。
 ということで今回はアレンジにおける拘りを中心に、全曲のコメントをしてもらった。

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――まずは「Heaven's Kitchen」。
「これはライブでもときどきはアコースティック・アレンジでやってたんですよ。原曲はロックで荒い音ですけど、今回はそれをスタイリッシュにして、ゆったり聴いてもらえるようにしました。今の私の歳でしかできないものに仕上がったと思いますね」
――このアレンジだとメロディのよさが際立ちます。
「そうですね。この曲に限らず、今回のはどれもメロディを際立たせるアレンジになってるかな」
――続いて「Ring A Bell」。
「日本語の"鐘を鳴らして"はアルバム(『ONE』)の本編に入れてたんですけど、英語ヴァージョンの"Ring A Bell"はボーナストラックで入れてて、ちょっと日陰的な存在だったんですよ。でも英語ヴァージョンのほうが好きだっていう声も多くて。で、今回、英語の曲を入れるとしたらどれかなって考えたときに、これだ!って思って」
――だいぶ印象が変わりましたよね。
「爽やかでしょ。朝方に聴きたくなる雰囲気というか」
――歌い方も原曲とはだいぶ違うし。
「うん。歌ってみて意外と優しい感じの曲なんだなって思った。もともとゲームのテーマソング用に書いた曲で、男同士の友情みたいなことを歌ってたんですけど、こういうアレンジにすると、なんか可愛らしい曲だったんだなって自分で思いましたね」
――次が「A Perfect Sky」。
「これはやっぱり入れないわけにはいかないというか(笑) このアルバムのなかでは、わりと派手めかな?!」
――(原曲から)大きくは変えづらい曲だよね。
「変えづらいんですけど、そこをグッとR&Bよりにして。切ない度は増してると思う。ちょっとしっとりしてて、真夏というよりは夏の終わりみたいな」
――終盤のピアノがいい感じです。
「あ、そうですね。あれ、ハタヤ(テツヤ)くんが弾いてるんですけど。ハタヤくん、実は私の中学の後輩なんですよ。たまたまなんですけどね。私のふたつ下なんですけど、中学のときの私を覚えていてくれてて…。巡り巡ってこの東京のレコーディングで再会できるなんて思ってなかったので、もうビックリで」
――続いて「Burning Inside」。これと次の「Paradiddle-free」は、シングルにもなってなかった隠れた名曲ですね。
「はい。"Burning Inside"は、もともとレゲエにしたくて書いた曲だったんですよ。でも、原曲は(Burning Chickenの)ヤンスとかとスウェーデンで録ったんですけど、ヤンスがレゲエを好きすぎて逆に手を出せないみたいなところがあって。なので、もう一回初心に戻ってレゲエで録り直してみたいと思って。これが録れたのは嬉しかったですね」
――「フューシャ フューシャ フューシャ」(アルバム『ONE』収録)にしてもそうだけど、ラヴァーズ・ロックとBONNIEの声はすごく相性がいい。なんなら全曲ラヴァーズ・ロックのアルバムとかも聴いてみたいくらいで。
「あ、いいですね(笑) でもホント、このアルバムのなかでも、この曲はわりと飛び出してくる感じが強いかも」
――次が「Paradiddle-free」。
「これは最初、声だけでやるつもりだったんですよ。原曲はバンドでトーレとやってて、わりと牧歌的な感じだったんですけど、もともと言葉遊びとリズムの面白い曲だったので声だけで録ってみたいって言ってて。でも私、アカペラとかやったことなかったから、どっから始めていいのかわかんなくて。始めは低いキーでベースラインも歌ってみたりしたんですけど、なんかどうもかっこがよくなくて……声だけだと軽くなりすぎちゃったんですよ。で、鈴木さんと話しながらいろいろ試してみた結果、ウッドベースだけは入れようってことになり、鈴木さんにお願いしたんです」
――最もチャレンジングな曲ですよね。
「そうですね。この曲の歌が一番大変でした。70チャンネルとか使ってるんですよ」
――でもウッドベースによって低音も落ち着いたし、アルバム中盤のいい動きになっている。
「うん。頑張ってよかったかな」
――次の「Present」は沖仁さんのスパニッシュ・ギターが情熱的なムードを表わしてます。
「今回のアルバムではプレイヤーの妙味を私自身が体感したいっていうのがあって。何曲かではいつも使わないような楽器をフィーチャーしたかったんです。で、スパニッシュ・ギターは今まで自分の作品に入れたことがなかったので、沖さんにお願いして。すごい職人技を見ているようでした。どんだけ指動くんやろ、って。あと、パーカッションで大儀見元さんにも入ってもらってます」
――ギターが情熱的だと歌も自然にそういうふうになってくるんでしょうね。
「うん。私がそうなっていくほど演奏が加速していく感じが面白かった。"クリックなしでやると気持ちいいね~"ってみんなも言ってて。ほかの曲よりもパッショネイトな感じで歌えましたね」
――7曲目は「Last Kiss」。ここではハープがフィーチャーされています。
「ハープの美しい音色とカルテットで録りました。ハープは聴いてて本当に"あ~、いい楽器だな~"って思いましたね。音色がフェミニンなんですよね」
――そういえば「Last Kiss」はJUJUさんにカヴァーされたりもしてましたが。
「はい。シンガーの方に"歌いたい"って言ってもらえるのは幸せなことだなって思いますね。ファンの間でも"Last Kiss"は評判いいんですよ。"流れ星"と並ぶくらい」
――いやもう大名曲ですから。
「嬉しいです!」
――で、次の「Look Me In The Eyes」が唯一の新曲。
「新曲を1曲入れようってことで、そのために5~6曲書いたんですけど、どうもいまひとつで。最後の最後にこの曲が書けたんですけど、苦悩しながら書いたわりには爽やかで幸せな曲になったっていう」
――ポジティヴと言えばポジティヴですよね。
「ポジティヴだと思います。わかりやすくポジティヴというよりは、何回か失敗して、でも嘘じゃない愛ならば大丈夫だよっていうものですけど。"門出"なんていうワードは、今までの私なら使わなかったと思うんですけどね」
――友達が結婚したとか、何かそういうことがあったんですか?
「いや……あ、でも多いんですよ、まわりで結婚が。言われてみると、それもちょっとあったのかもしれない」
――結婚式でこれを歌うっていうのは違うかな?(笑)
「あ、でも、何回か別れてるカップルの結婚式とかだったら(笑) だいぶ人を選びますけどね」
――音も祝福感があるし、肯定して進んでいく感覚がありますよね。
「まぁ、今という時代に暗い曲は聴きたくないっていうか、前を向いていきたいっていう気持ちがあったので。辛いことがあっても生きていけるさ、みたいな。自分でもそういう曲を聴いていたい気持ちだったので」
――次の「Tonight,the Night」は、暖かなムードが強調されています。
「そうですね。ちょっと南国ふうというか。後ろノリの気持ちよさ、みたいな」
――これも原曲を崩しにくかったのでは?
「そうですね。歯切れのいいサビがあって流れるようなAメロ・Bメロがあるという、そこのダイナミクスがこの曲の肝だったりするので、そこは崩せない。ということで、少しコードをいじったりしたぐらいかな。これもハタヤくんのキーボードがいい味を出してくれてますね」
――そして、締めが「Do You Clash?」。
「海の底に沈んでいくようなピアノのアレンジが素晴らしいなと思って。これはだいぶ原曲と違ってステキになったので、最後にしたんですけど」
――原曲はロック感が強かったので、相当変わりましたよね。
「ライブでもブレイクのときにシャウトするのがお決まりになってたようなロックな曲だったんですけど、もともとの私のデモはピアノと歌だけだったんですよ。もともとゆったりしたバラードのイメージで書いた曲だったんです。それをトーレがホーンを入れたりして、ああいうふうに派手なアレンジになってたんですけど。今回はもう一回デモのときの穏やかな感じに戻すというか、もともとは穏やかなバラードなんだよってところを見つめ直したい気持ちがあって」
――歌い方も、もともとの感じに近いんですか?
「そうかも。この曲、もともとは1行ずつ交互に気持ちを歌ってたものなんですね。"ああつまらない"、"それがどうしたって?"、"あぁつまらないことで忙しい"、っていう。でもライブで歌いすぎてそういうふうに作ったことを忘れちゃってて、で、今回はテンポを落として歌ったこともあってそれを思い出したんですよ。行ったり来たりする心情に波のたゆたうようなこのアレンジが合ってて、キレイにまとまったなって思いました」

続く(次回は9/30掲載予定)

取材・文/内本順一

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Back Room -BONNIE PINK Remakes- Back Room -BONNIE PINK Remakes-

BONNIE PINK
New Album
「Back Room -BONNIE PINK Remakes-」


2011.09.21 Release
初回限定盤(CD+DVD)
¥2,857(本体)+税 / WPZL-30316/7

通常盤(CD)
¥2,381(本体)+税 / WPCL-10992

BONNIE PINK、初のセルフリメイクアルバム「Heaven's Kitchen」「Last Kiss」「A Perfect Sky」等数々のヒット曲をアコースティックアレンジで新録したBONNIE PINK初のセルフリメイクアルバム。
新曲1曲を含む全10曲収録。
初回限定盤にはスタジオライブ4曲を含むレコーディング・ドキュメンタリー映像を収録したDVD付。

The Sun Will Rise Again

チャリティソング
配信リリース
「The Sun Will Rise Again」

※ダウンロードでのレコード会社売上の全額を
日本赤十字社に寄付致します。

レコチョク

http://itunes.apple.com/jp/album/id428549702
http://wmg.jp/artist/bonniepink/

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