100年 MUSIC featuring Artist

Vol.5 BONNIE PINK

BONNIEにとっての"長く残る音楽の肝"
そして、100年残したい自身の曲

 セルフ・リメイク・アルバム『Back Room』を聴いて改めて思うのは、BONNIE PINKの楽曲がいかに時の風化に耐えうる力を持っているかということだ。ここには初期の曲も入っているし、近年の曲も入っている。が、通して聴いたときに古い新しいの区別はまるでつかない。古い新しいで捉えることに何の意味もなく、どれも同じように今の気持ちで新鮮に聴くことができる。そこがいい。
 では、そういう曲を書くために、彼女はどんな意識を働かせているのだろうか。それを訊いてみた。

Page.5

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――100年とは言わないまでも、長く聴き続けたくなる音楽の肝ってなんだと思いますか?
「う~ん。私自身が好きで繰り返し聴く曲はどういうものかって言ったら、やっぱりいつどんなシチュエーションで聴いてもスッと入ってくる曲で、それってアレンジが奇をてらったものではなく、例えば歌とギターだけとか、歌とピアノだけとか、それでもう"ご馳走様です"って言いたくなるような、そういう曲なんですよ。そうやって考えると、肝となるのは、私の場合は言葉とリズムですね。メロディが一番大事って言いそうなタイプでしょ?(笑) でもそれより言葉とリズム。言葉があって、その言葉に一番フィットするリズムがあてられたらOKというか。体内グルーヴみたいなものと言葉がピタッと合うものになりさえすればもうOKってところはありますね。逆にどんなにステキな言葉であっても、ヘンなリズムが乗っちゃったら台無しで、そうすると言葉が全然残らないんですよ。自分なりの体内グルーヴなのか、血流みたいなものなのか、なんなのかわからないけど、言葉が気持ちよくリズムと合わさっていれば、クッと入ってくる。っていうところはありますね」
――譜割りもありますよね。
「そうですね。うん。そこは曲を書くときに一番こだわっているところで」
――確かにBONNIEの曲を聴いて、譜割りの違和感を覚えたことが一度もない。必ず言葉が気持ちよくリズムに乗っているっていう。
「あ、よかったです(笑) やっぱり"ありがとう"の一言を"あり~~がと"って歌ってるのとかを聴くと、"え?!"って思っちゃうほうだから。それじゃ"ありがとう"の気持ちが伝わらないよ、みたいな。そこを違和感のない譜割りで歌えてる曲は繰り返し聴けますからね。伝えたい言葉がバシッとリズムと一体になっていれば、もうそのフレーズだけでその曲は成功とも言えるわけで。あとは書いたときのパッションかな。やっぱり強い思い入れで言葉を書いているものと、そうじゃないものの差は、明確に音楽に出るから。そういうのって聴けばわかりますからね」
――机の前でうなって書いたものよりも衝動的に思いを書いたもののほうが強い曲になるってところはあるでしょうね。「The Sun Will Rise Again」は、だから強度のある曲になったんでしょうし。
「そうですね。初期衝動をどれだけそのままの形で曲に反映させることができるか。っていうところで残り度も変わってくるってところはあるでしょうね。あと鮮度も大事ですよね。いいアイディアがあっても、あまり寝かせすぎちゃうとよくない。発表するまでに時間を置きすぎてもよくないってところはあるでしょうね」
――因みに『Back Room』で取り上げた曲群は、それこそどれも長く残したい曲であるわけですよね? 長く残るであろう曲でもあるし。
「うん。自分にとってどれも大切な曲たちだし、もう一回向き合って歌ったことでより大切度があがったし。あと、ライブであまりに歌い過ぎてて、作ったときの気持ちをおざなりにしちゃってたなって思うところもあったんですよ。だから、書いたときの気持ちをもう一度思い出させてくれた今回の制作でもありました」
――アコースティックを基調としたアレンジによって、むしろ書いたときの気持ちがまた戻ってきたという側面もあったんでしょうね。
「そうですね。うん。で、やっぱり伝えたいメッセージが明確にあった曲は、始めからこねくりまわして書いてない。本当に伝えたいものがある曲ほどシンプルに書いているし。残る曲ってそういうものなのかも。アレンジに凝り過ぎちゃって歌詞のテーマが後回しになっちゃってる曲は、そのときは面白く聴けても、何年か経って聴くと着飾ったところが目立ってきちゃうんですよ。で、肝心の中身が伝わりにくくなったりして。やっぱり曲が着ぐるみみたいになっちゃったら絶対ダメですね。本当に言いたいことがあるときは薄着でいい。着飾ってない曲のほうが、嘘がない分だけ長く残るんです」
――では最後の質問。深く考えすぎずに答えてくださいね。自分の曲のなかで、100年残したい曲はなんですか?
「なんだろう……。難しいので、このアルバムに入ってる曲の中で答えると、"Heaven's Kitchen"かなぁ。ヒットしてみなさんに知ってもらってる曲っていうと"Heaven's Kitchen"か"A Perfect Sky"になるわけだけど、"A Perfect Sky"は夏という季節感がどうしても前に出るから、冬に聴くには違和感がある。その点、"Heaven's Kitchen"はシーズン関係なく聴けるから。あと、実はこの曲、私が一番初めに書いた曲なんですよ。人生初の自作曲なので」
――なるほど。では、ヒットしたしないに関わらず、特別残したいっていう曲は?
「"Present"ですね。これはシングルとかにもなってないんですけど、アルバムのタイトルにしたぐらい好きなんですよ。歌っててもゾクゾクって血が騒ぐ感じがあるんですよね。そんなにライブでは歌ってないんですけど。"空っぽのはずなのにどうして あなたには優しくするんだろう"っていう悲しい歌なんだけど、なんかその部分がソングライターでもある自分と結びついちゃうんです。出しつくして、空っぽになって、それでも私はまた作り続けなければならないんだ、っていう。だからただの恋愛の歌じゃなくて、人生の歌というか。"それでも命、削ります"みたいな。私なりの演歌だったりして(笑)」

取材・文/内本順一

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Back Room -BONNIE PINK Remakes- Back Room -BONNIE PINK Remakes-

BONNIE PINK
New Album
「Back Room -BONNIE PINK Remakes-」


2011.09.21 Release
初回限定盤(CD+DVD)
¥2,857(本体)+税 / WPZL-30316/7

通常盤(CD)
¥2,381(本体)+税 / WPCL-10992

BONNIE PINK、初のセルフリメイクアルバム「Heaven's Kitchen」「Last Kiss」「A Perfect Sky」等数々のヒット曲をアコースティックアレンジで新録したBONNIE PINK初のセルフリメイクアルバム。
新曲1曲を含む全10曲収録。
初回限定盤にはスタジオライブ4曲を含むレコーディング・ドキュメンタリー映像を収録したDVD付。

The Sun Will Rise Again

チャリティソング
配信リリース
「The Sun Will Rise Again」

※ダウンロードでのレコード会社売上の全額を
日本赤十字社に寄付致します。

レコチョク

http://itunes.apple.com/jp/album/id428549702
http://wmg.jp/artist/bonniepink/

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